「やる気さえあれば、もっと色々なことができるのに」
そう感じたことはありませんか。
私自身、かつてはそう思っていました。大きな目標に向かって燃え上がるような情熱こそが、行動の源だと信じていた時期があります。だから常に、高いモチベーションを追い求めていました。
けれど今の私は、やる気は必ずしも必要ないと考えています。この記事では、私自身の考えが変わったきっかけと、やる気に頼らずに続けていくための見方についてお話しします。
「やる気が出ない」と話される方は、たいてい既に動いています
10年以上、個人事業主の方の相談を受けてきました。その中で「やる気が出ないんです」というお話は、何度も聞いてきました。
そして毎回、私が感じることがあります。
そう話される方の多くは、既に十分に動いています。
朝早く起きて作業している。休みの日も仕事のことを考えている。学びにもお金を使っている。客観的に見れば、明らかに動いています。
にもかかわらず、ご本人の実感は「やる気が出ない」なのです。
ここに、私はずっと違和感を持っていました。動いているのに、動けていないと感じる。この落差はどこから来るのだろうと。
話を聞いていくうちに、共通点が見えてきました。「やる気が出ない」とおっしゃる方の多くは、「やるべきこと」はできているのに、「やりたいこと」が進んでいない状態にありました。
依頼された仕事はこなしている。締め切りのあるものは終わっている。けれど、自分で決めた発信や、新しい企画は手つかずのまま。
つまり、やる気がないのではなく、外から締め切りが来ないものだけが止まっている。これは意志の強さの問題ではなく、仕組みの問題だと私は考えています。
私が「やる気」を追い求めていた頃の話
私は独立する前、19年間、金融系のシステム開発に携わっていました。
その世界には、明確な締め切りがありました。リリース日が決まっていて、そこから逆算して全ての作業が並んでいる。やる気があろうとなかろうと、やるしかない環境です。
正直に言えば、当時の私は「やる気」について考えたことがほとんどありませんでした。考える余地がなかったからです。
変わったのは、独立してからでした。
誰も締め切りを決めてくれない。何をいつやるかは、全部自分で決めていい。自由になったはずなのに、動けない日が出てきました。
そのとき私が最初にしたのは、モチベーションを上げようとすることでした。目標を大きく掲げる。理想の未来を思い描く。成功している方の話を聞きに行く。
一時的には、確かに気持ちが上がります。けれど数日経つと、元に戻る。そしてまた次の刺激を探す。
「あれ、人生ってこんなに難しいものなのかな」と感じることもありました。
そうして日々を過ごすうちに、私はあることに気づきました。
やる気を待っている時間そのものが、動かない理由になっていたのです。
「今日は気分が乗らないから、明日にしよう」
「もう少しやる気が出てから、始めよう」
やる気を条件にしてしまうと、やる気が出ない日は、動かなくていいことになります。そして人間は、たいていの日はそこまで気分が乗っていません。
これは、やる気を「待つ」という名の、やらない言い訳になっていたのだと、私は思っています。
「やる気」という言葉に、二つの意味が混ざっています
ここで、少し整理させてください。
私が思考整理でお伝えしているのは、「考え方を変えましょう」ということではありません。思考を正しい位置に戻すという作業です。
「やる気」という言葉も、位置を戻すと見え方が変わります。
私たちがこの言葉を使うとき、実は二つの違うものが混ざっていることが多いと感じています。
- 感情としての高揚
-
気分が上がっている状態。ワクワクしている、興奮している。これは波があって当然のもので、常に維持することはできません
- 方向が定まっている状態
-
これをやる、と決まっている状態。感情の高低とは関係なく、何をするかが決まっている
そして多くの場合、私たちが本当に必要としているのは後者だと私は考えています。
前者を追い求めると、気分が上がらない日は止まります。けれど後者があれば、気分に関係なく手は動きます。
「本当にやるぞ」と決まったとき、私の場合は静かに気持ちが満ちてくる感覚がありました。盛り上がるのではなく、進むべき道が自然と見えてくる。あれは高揚ではなく、方向が定まった状態だったのだと、今は思います。
淡々と続けるとは、どういうことか
ひとつ、たとえ話をさせてください。
りんごの木があります。りんごの木は「秋には実をつけるぞ」と、春から騒がしく準備をしているわけではありません。ただ静かに、季節の中で花を咲かせ、葉を茂らせ、少しずつ実を大きくしていきます。夏の時点で枝についているのは、まだ小さくて青いりんごです。私たちが思い浮かべる、赤く熟したものではありません。
私たちが憧れるのは、たいてい実がなった状態の方です。けれど実際に長いのは、その手前にある、何も起きていないように見える時期の方だと思います。
淡々と続けるというのは、その時期をどう過ごすかの話なのだと、私は考えています。
では具体的に、どうすればいいのか。私が現場でお伝えしているのは、大きく2つです。
- やる気を判断材料から外す
-
「今日はやる気があるか」を、やるかどうかの基準にしない。基準を感情ではなく、予定に置き換えるという考え方です
- 量を下げてでも、止めない
-
調子が出ない日は、10分でも構いません。ゼロにすると再開に力が必要になりますが、続いていれば戻るのは簡単です
どちらも地味な話です。劇的な変化は起きません。
けれど私が見てきた限り、続いている方は、たいてい地味なことをしています。派手な方法で続いている方には、あまりお会いしたことがありません。
それでも動けないとき、確認してみてほしいこと
ここまでお読みになって、「そうは言っても」と感じられた方もいるかもしれません。
その感覚は、正しいと私は思います。方法を知っていても動けないことは、実際にあります。
そういうときは、次のことを確認してみるという選択肢もあります。
「動かないのは、この件だけですか」
特定の仕事だけが進まないのか、全体的に止まっているのか。特定の一つだけが止まっているなら、それは「やる気」の問題ではない可能性があります。その仕事について、まだ決めきれていないことがあるのかもしれません。
「そもそも、これをやると決めたのはいつですか」
決めた記憶がはっきりしない場合、まだ決まっていない可能性があります。決まっていないことは、進みません。当然です。
「これは何度目ですか」
始めては止まり、また始めては止まる。この流れを、何度か繰り返している方がいらっしゃいます。
もしそうであれば、原因は今回のやる気ではなく、もっと前にあるかもしれません。
私はそれを分岐点と呼んでいます。同じパターンが繰り返される、その起点です。
分岐点は、今回の状況を眺めているだけでは見えてきません。毎回、止まった理由は違います。忙しかった、体調が悪かった、優先順位が変わった。事情が違うので、同じパターンだと気づきにくい。共通しているのは出来事ではなく、そこで働いた判断の仕組みの方です。
学んで動いてきた方ほど、思考が絡まっている場合があると私は感じています。「変わりたいのに変われない」と感じる仕組みについては、変わりたいのに変われない。その理由は「今」を見失っているからかもしれないでも触れています。また、動けない状態が続くとき、一人で全部を抱えていることが背景にある場合もあります。こちらはなぜ、あなたは一人で全てを抱え込んでしまうのか?でお話ししています。
やる気がない自分を、責めなくて大丈夫です
やる気が出ないことを、私は問題だと思っていません。
そもそも、常に高いモチベーションを保てる人の方が少ないのではないでしょうか。目を輝かせるような崇高な目標が、誰にでも簡単に見つかるわけでもありません。
大切なのは、やる気を出すことではなく、やる気がなくても進める状態を作っておくことだと私は考えています。
そのために必要なのは、気合いではなく整理です。何をやると決まっているのか。何は今やらなくていいのか。それがはっきりしていれば、感情の波に関係なく手は動きます。
私が思考整理でお伝えしている順番は、心の整理から始まります。動けないとき、最初に見るのは予定表ではなく、そこで何を感じているかの方です。
もし今、「そうは言っても動けない」と感じているなら、やる気の問題ではないところに理由があるのかもしれません。その場合は、一度立ち止まって整理してみるという選択肢もあります。
Continuing Course
繰り返しているパターンがあるなら
同じところで止まる。抜けたと思っても、また戻ってくる。それが何度か続いているとしたら、原因は今の状況ではなく、もっと前にあるかもしれません。
継続コース(5ヶ月)では、その起点となる分岐点まで、一緒に遡っていきます。今すぐでなくても構いません。まずは、どういう時間なのかを見てみてください。
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