「ありがとうございました。あとは自分で考えてみます」
セッションの終わりに、つい口にしてしまう。そんな経験はありませんか?
一見、自立していて前向きな言葉に聞こえます。でも私は、この言葉が出たあたりから、ビジネスも人生も静かに止まり始める場面を、何度も見てきました。
「このままでいい」と思う気持ちと、どこかで「このままじゃ嫌だ」と感じる不満。この二つ、実は同時に存在していて当たり前なんです。矛盾ではありません。
今回は、動けなくなる本当の理由と、そこから抜け出すための整理の仕方についてお話しします。
真面目に考えているのに、なぜ動けないのか
以前ご一緒した経営者の方も、新しいサービスの案内を出すかどうか迷った末、笑顔で「自分で考えてみます」とおっしゃいました。次にお会いしたとき、案内はまだ出ていませんでした。
理由を一緒にたどっていくと、サービスの中身は関係ありませんでした。「出して反応がなかったら、これまでの自分がやってきたことが間違っていたことになる」。その怖さが、手を止めていました。
この方は怠けていたわけではありません。むしろ誰よりも真面目に考え続けていました。真剣に考えているのに、動けない。10年以上、事業に向き合う方々と対話してきましたが、これは特別なケースではなく、よくあるパターンです。
「頑張っているのに結果が出ない」「何を変えればいいかわからない」「新しいことを始めようとすると、なぜか足が止まる」。
心当たりがあるなら、それは意志の弱さでも、能力不足でもありません。
同じコンサルタントや講座に何年も通い続ける。SNSの発信を同じやり方で繰り返す。「今のままでもそれなりに動いているし」と、新しいことを試す前に立ち止まる。こういう場面、心当たりはありませんか。
安心感と停滞感は、セットでやってきます。今のやり方を続ける限り、大きく失敗することはありません。その安心があるから、動かない状態が心地よく、同時にどこか物足りない。
「今は動きたくない」の裏にあるもの
「自分で考えてみます」という言葉の裏には、「今は動きたくない」という本音が隠れていることが多いです。そしてこれは、怠慢ではありません。
人は変化をリスクとして受け取るようにできています。失敗するのが怖い。恥をかきたくない。今の安心を手放したくない。こうした感情が先に働くと、無意識にブレーキがかかって、「考える」という安全地帯にとどまろうとする。心が自分を守ろうとしている状態です。
不思議なのは、これだけ真剣に考えているのに、自分がどこで止まっているのか、本人には見えにくいということです。
頑張っているのに動けないとき、その人全体がだめなわけではありません。多くの場合、どこか一か所が「怖い」という気持ちで止まっているだけです。必要なのは、もっと頑張ることではなく、その一か所を見つけることです。
では、その一か所には何があるのか。
「変わって、うまくいかなかったら?」「今あるものを手放すことになるのでは?」「そもそも自分に新しいことができるのか?」。
こういう問いが、整理されないまま心の奥に残っていることが多いです。
だから、いくら「やってみよう」と気合を入れても、また同じ場所に戻ってきてしまう。変わりたいのに変われないと感じる背景も、根っこは同じです。
動けない自分を責める前に、3つ書き出してみてください
変化への恐れを薄くするのに、気合や勇気はいりません。頭の中にある次の三つを、紙に書き出してみてください。
何が怖いのか?
例:反応がないのが怖い
その怖さは、事実か、思い込みか?
例:反応がなくても、次に直す点が見えることもある
本当は、どうしたいのか?
例:必要な人に届けたい
これができると、背中を押されなくても、自分から次の一手を選べるようになっていきます。
私が思考整理でお伝えしているのは、考え方を変えることではなく、思考を正しい位置に戻すことです。心の整理、思考の整理、時間の整理、現実の整理。この順番が大事です。
「怖い」という感情を無視したまま、ノウハウやスケジュールだけ整えても、また同じ場所で立ち止まってしまうからです。
何度も同じところで止まってしまうなら、目の前の判断だけでなく、そのパターンの起点まで戻る必要があるかもしれません。私はその起点を「分岐点」と呼んでいます。
単発セッションでは目の前の判断を整え、分岐点までさかのぼるなら、5ヶ月の継続コースで一緒に辿っていきます。どちらの場合も、答えを渡すのではなく、ご自身で辿り着ける状態をつくること。それを大事にしています。
いま「考えてみます」で守っているものは何ですか
いま、あなたが保留にしていることは何でしょうか。それはいつから続いていますか。頭の中で、同じ問いが繰り返されていませんか。
考えている間も、ビジネスの環境は止まってくれません。自分が動かずにいる間にも、市場は動いています。あなたのサービスや商品を、今まさに必要としている人がいるかもしれない。
「失敗したくない」「恥ずかしい」と立ち止まっている間に、その人へ届ける機会が先延ばしになっているとしたら、もったいないと思いませんか。
もし、失敗しても誰にも責められないとしたら、本当はどうしたいですか?
答えを急ぐ必要はありません。ただ、その保留が何を守ろうとしているのかに気づけたとき、動けなかった理由は、意外と小さな一か所にあったりします。
「このままではいけない」という感覚は、変化のタイミングが来たサインかもしれません。その感覚を放っておかず、まず思考を整理するところから始めてみませんか。
Continuing Course
繰り返しているパターンがあるなら
同じところで止まる。抜けたと思っても、また戻ってくる。それが何度か続いているとしたら、原因は今の状況ではなく、もっと前にあるかもしれません。
継続コース(5ヶ月)では、その起点となる分岐点まで、一緒に遡っていきます。今すぐでなくても構いません。まずは、どういう時間なのかを見てみてください。
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