起業支援のセッションやコンサルティングをしていると、法的な備えが何もない状態で活動されている方に出会うことがあります。
他のコンサルタントをつけて準備を進めているはずなのに、肝心の「権利」については何のアドバイスも受けていないという方に、これまで何人もお会いしてきました。
実際に私の肩書きに届いたメッセージ
肩書き、メソッド名、商品名。自分が育ててきた言葉ほど、法律の対象になり得るという意識が抜け落ちがちです。
そしてこの「知らなかった」が、後になって大きなトラブルにつながることがあります。実は私自身も、以前この件で不思議な体験をしました。
当時、私は「社長補佐官」という肩書きで活動していました。ある日突然、見知らぬ方からメッセージが届いたのです。今度この肩書きで仕事をしようと思って商標を取ろうとしたら、私が先に使っていて驚いた。この肩書きに愛着があるので譲ってほしい、という内容でした。
「使わないで」とはっきり言われたわけではありませんが、私が登録するのであなたは使わないでほしい、というニュアンスが透けて見える内容でした。
正直、そこで話し合いや対立に時間を使うのはもったいないと感じ、その肩書きには執着せず手放すという判断をしました。
その後、新しい肩書きを考えるまでに試行錯誤を重ね、現在は「思考整理コンサルタント」として活動しています。もしあの時、私が「絶対にこの名前でいく」と決め、何年もかけてブランドを築き上げた後にこのメッセージを受け取っていたらと考えると・・・。あまり考えたくないですね。
リスクに気づきにくい理由
19年間、金融系のシステム開発に携わってきた経験から言うと、システムの世界では権利や仕様を最初に定義してから動くのが当たり前でした。ところが事業を立ち上げる場面では、情熱や勢いが先に立ち、法務面の整理が後回しになりやすい傾向があります。
その後10年以上、コンサルティングの現場で多くの経営者の方と関わってきましたが、この傾向は事業の規模や形態を問わず共通していると感じています。
ブランディングやマーケティングの専門家はついていても、その名前は法的に守られているかというところまで踏み込んで確認してくれる人は、意外なほど少ないのが現実です。悪意があるわけではなく、単に守備範囲の外にあるだけ、という場合も多いのだと思います。
最低限知っておきたい4つの権利
自分自身が開発したノウハウや、大切に育てた商品名、肩書き。その独自性と価値を損なわないために、最低限押さえておきたい権利は次の4つです。
- 特許権(アイデア・技術)。発明を守る権利です。独自のメソッドやシステムを確立した方は、まずここを確認する価値があります。保護期間は20年間です。
- 意匠権(デザイン)。プロダクトの見た目を守る権利です。オリジナルの形やパッケージがある場合は重要になります。保護期間は25年間です。
- 商標権(ネーミング・ロゴ)。もっともトラブルになりやすい権利だと私は感じています。会社名、商品名、ロゴ、そして冒頭でお話しした肩書きもここに含まれます。保護期間は10年間ですが、何度でも更新できます。
- 著作権(文章・写真などの表現)。ブログやSNSの文章、撮影した写真など、書いた瞬間に権利が発生し、大切な表現の独自性を守る後ろ盾になります。保護期間は死後70年までです。
(AI生成画像の著作権について詳しくはこちら)
とりわけ商標権は強力です。私の方が先に使っていたという主張、いわゆる先使用権が認められるケースもありますが、それを証明するのはかなり大変な作業になります。
だからこそ、自分の事業を本気で守りたいのであれば、守るための知識も同じくらい必要だという場合もあります。
今日からできる確認と、専門家に任せるべき領域
あれ、これって大丈夫かなと少しでも引っかかったら、まずは特許情報プラットフォームのJ-PlatPatで検索してみることをおすすめします。自分が使いたい言葉をすでに誰かが登録していないか調べるだけでも、リスクを避ける一歩になります。
ただし、商標登録の要否や実際の出願手続きといった専門的な判断については、弁理士など専門家への相談が確実です。私自身も個別セッションや継続コースの中で、ブランディングのアドバイスだけでなく、こうした事業に必要な法務の視点についてお伝えしていますが、必要であれば信頼できる専門家をご紹介することもあります。
起業や経営のコンサルを受けているから大丈夫と思っていても、法律の穴まで見てくれる人は意外と少ないというのが、これまで多くの方と関わってきた中での実感です。
事業の守りを、今のうちに確認するという選択肢
今の肩書き、商標登録したほうがいいのだろうか。この名前、このまま使い続けても大丈夫だろうか。そう思った瞬間が、実は一番動きやすいタイミングです。トラブルに巻き込まれてから後悔するよりも、今のうちにご自身の事業の守りを確認しておくという選択肢もあります。
肩書きや商標にまつわる不安は、単独では解決しにくく、事業全体の方向性と合わせて整理した方がすっきりすることも多いテーマです。
目の前の判断を一緒に整理したいという方は、90分の単発セッションでご相談いただけます。より根本から事業の土台を見直したい場合は、思考整理の継続コースの中で、分岐点まで遡りながらブランドのあり方そのものを整理していくこともできます。
Single Session
今の判断を、一度整理したい方へ
どこまでが大丈夫で、どこからが確認すべきことなのか。一人で考えていると、判断がつかないまま止まってしまうことがあります。
単発セッション(90分)では、目の前の判断を一緒に整理します。必要に応じて、専門家をご紹介することも可能です。
単発セッションを見る継続的に相談できる相手を探している方へ
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