「感謝しましょう」
「感謝が足りないからうまくいかない」
自己啓発やビジネスの場で、こうした言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
感謝は確かに大切なものです。
けれどもし今、
- 感謝しなきゃと思うほど苦しくなる
- 心が追いついていないのに「ありがとう」と言っている
- ポジティブでいなければと自分を押さえ込んでいる
そんな感覚があるとしたら、少し立ち止まって考えてみてください。
問題は「感謝が足りないこと」ではありません。
感情を置き去りにしたまま、言葉だけを使っていることかもしれないのです。
「感謝しましょう」という言葉の裏側にあるもの
自己啓発セミナーや起業アドバイスの場では、
「毎日感謝を書き出しましょう」
「感謝できないのは心が未熟だから」
といった言葉がよく使われます。
一見、前向きで正しいことのように聞こえます。
しかし、その言葉に違和感を覚える人も少なくありません。
なぜなら、そこには今感じている感情が含まれていないからです。
無理な感謝は、自分の感情を置き去りにする
心の中に、
- 消化できていない悲しみ
- 理不尽さへの怒り
- 納得できない出来事
が残っているにもかかわらず、
「この経験に感謝しなきゃ」
「この人のおかげで今の自分がある」
と無理に言い聞かせてしまう。
それは美徳に見えて、実は自分の感情を否定する行為です。
感情を無視した感謝は、
自分を大切にしている状態とは言えません。
「感謝」と依存的な思考の関係
もう一つ、よくある勘違いがあります。
「〇〇してもらった。ありがとう」
という言葉だけに偏った感謝です。
これは一見、謙虚で良い姿勢に見えますが、
相手の行為に価値を委ねすぎると、
- 誰かに与えてもらう前提の思考
- 常に承認を求める状態
- 依存的な「クレクレ」思考
を生み出してしまうことがあります。
本当の感謝は、
誰かに何かをしてもらった結果として義務的に生まれるものではありません。
まず大切にしてほしいのは「今の気持ち」
感謝は、つくるものではなく
自然に湧き上がる感情です。
だからこそ、最初に向き合うべきなのは
「感謝できていない自分」ではなく、
「今、何を感じているのか」です。
疲れている
納得していない
悲しい
悔しい
その感情を否定せず、認識することが先です。
小さな喜びの積み重ねが、本当の感謝につながる
感謝は、特別な出来事から生まれるものではありません。
- よく眠れた
- 温かいご飯がおいしかった
- 今日一日を無事に終えられた
そんな日常の小さな喜びに気づける状態になると、
心は自然と落ち着き、
「ありがとう」という言葉が無理なく出てくるようになります。
私自身も、
感情を押し殺す生き方をやめたとき、
心から感謝できる出来事や言葉に出会う機会が増えていきました。
感情を押し殺し続けると起こること
自分の気持ちを無視し続けると、
- 本音が分からなくなる
- 何が幸せか判断できなくなる
- 仕事や人間関係が突然止まる
といったことが起こりやすくなります。
体調を崩したり、
なぜか物事が進まなくなるのも、
心からのサインであることは少なくありません。
「感謝」に振り回されていると感じたら
もし今、
- 感謝しなきゃと自分を縛っている
- 常にポジティブでいようとして疲れている
- 言葉にできない違和感がある
そんな状態なら、
それは自分を見つめ直すタイミングです。
感情と頭の中を一度整理することで、
次の段階へ進む準備が整います。
気持ちと思考を整理し、次の一歩へ
じっくり話をすることで、
- 気持ちが整理される
- 思考の混線がほどける
- 無理なく次の行動を選べる
状態に戻っていく方は多くいらっしゃいます。
感謝に振り回される生き方から、
自分の感情を土台にした選択へ。
それが、心と現実を動かす第一歩です。

